絶対、変や。 一月一日。新年の初めに、悦子は怪訝な顔をしていた。 じとりとしたその瞳を向けられている人物、幼馴染の浩之はというと、 「浩くん、今年もよろしくねぇ」 「はい。もちろんです!」 にっこりと満面の笑顔で悦子の母に挨拶中。 不気味なくらい、にこやかで。 悦子の顔はますます引きつっていった。 何を企んでいるんやろか・・・。 疑いの目は深く深くなるばかり。 睨んでいると、こちらを向いた浩之がすっと手を出してきた。 「なに変な顔しとんのじゃ。ほら、行くぞ?」 手を取れ、と出されたそれに思わず緊張する。 「い、行くなんていっとらんよっ・・・」 居心地が悪そうに視線を泳がせて、絶対に取らんとぎゅうっと手に力を込めた。 「わ、私は流されんっ!絶対に、だ、騙されんよっ!」 「なにいっとんのじゃ」 わけわからんという顔をされて、小さな抵抗は虚しく、悦子の手はあっさりと捕まれてしまう。 捕まれたら、ドキリと身体が硬直して。 結局は振り払うことも出来ずに、悦子は浩之に連れられて出かけていくことになるのだった。 「・・・あ、大吉・・・大吉よっ!ブー!!」 近所の神社で引いたおみくじは見事に大当たり。 興奮したように繋いだ手をブンブン揺らして笑顔で彼を見れば、同じように笑ってくれていた。 やっぱり変や、と思う。 去年のクリスマスの日から、変になったのだ。この幼馴染は。 突然、き・・・キス・・・らしきものをしてきたりして。 「ブー、悪いもんでも食ったん?」 「・・・はぁ?」 そう問いかけずにはいられないほど、変だった。 でも、自分も結構、変なのだ。 なんで、手を繋いでるんだろう。 どうして一緒に歩いてるんだろう。 繋いだ手がどう考えても嫌じゃなくて。 自分からは離す気も湧かなくて。 凄く、凄く・・・緊張なんかしちゃってる。 少し前を歩くその横顔をチラリと覗いたりして。 楽しそうな笑顔を思い出したりして。 そうして、真っ赤な顔で繋いだ手にキュッと力を込めてしまう私の方が、 実はそうとう変なのかもしれない・・・。 終・・・ さらりとしたお礼で書いたのですが、さらりとし過ぎて意味がわかりませんね・・・。(汗) 浩之が妙に爽やかです。 |