どうして未だにこんない胸が熱いのか・・ 昔はともかく未だにこんなに彼女に影響されやすいのか・・ この想いを調節出来る・・そんなネジみたいのがあったらいいのに・・ 未練だらけの気持や、自覚した想いに目まいすら覚えそうなそんな眠れない夜だった。 　　　　 恋恋。その行方 　　 （疲れたし・・て言うか、昨日寝らんなかったし・・） 次の日、自動販売機にもたれかかりながら、いかにも誰かと待ち合わせをしている様な彼女の姿。 俺の姿を発見すると数本の缶ビールが入った袋を持ち上げながら当たり前の様に微笑む。 ヤ「よう！・・・付き合ってくんない？」 疲労感が吹っ飛び嬉しさと愛しさが体中にこみ上げたが照れ隠しに彼女には「暇人」と一言。 彼女が持つ袋を取り上げ側の公園にまた足を進める。 今日は本当は自分が彼女の帰りを待っていようと思ってたから正直・・余計に嬉しかった。 内「ぬる・・」 ヤ「・・げ」 内「どーせ奢ってくれんなら、俺が来るまで買うなよな・・待ってろよ〜たく。」 ヤ「文句言わないー！」 内「へーい」 長い時間あそこで待っていたのかと思うと胸が痛くて・・ぬるくなった缶を握る手に力が入り、 それでも愚痴を言う事しか出来ない不器用な自分が腹立たしかった。 ヤ「・・・・・・・で？宿題の答えは？」 内「忘れた・・宿題」 ヤ「何だと〜（怒）　　お前は宿題という言葉の意味から勉強した方が・・」 内「・・それより。今日は俺の恋の話しなんてどうよ？先生♪」 ヤ「・・お？珍しいジャンーー！いいねーーｖｖ恋の話し♪」 今から俺が話そうとする事の予想すら全くつかない彼女には興味津々と言う顔を向けられ苦笑が漏れた。 少しずつ大きくなる胸の響きを何とか落ち着かせるために煙草に火を点けた。 内「俺さ・・高３の時、好きな女いたんだ」 ヤ「ええ！そ、そうなのか！？」 内「・・ん。その女はさ、口は悪いわ、オッチョコチョイだわ、これがまた変な女なんだけど・・眩しくて・・妙に魅かれる女だった。 　　情が深くて、裏切ったり気持を踏みにじる様なマネなんて絶対しないヤツでさ・・」 ヤ「そ、それで・・？告白したのか？」 俺を覗き込み必死で問う彼女に首を横に振り溜息混じりな煙りを吐くと、彼女からも負けじと大きな溜息が漏れた。 内「バカだからさ・・想いを伝える勇気とか持てなくて、傷つけるより・・自分が傷ついたりするのが怖くて、 　　素直な大人に何てなれなくてさ・・。　　だからソイツが笑ってれば幸せだったんだ〜〜俺。 　　けど・・誰かに彼女を独占されのは嫌で・・そんな矛盾だらけの自分がもっと嫌でさ〜」 ヤ「・・・・・内山・・・」 内「けど・・・・あの頃はそんな矛盾だらけの苦しい恋を俺は選んだんだよな・・」 彼女は何も言わず俺の話しを自分の事の様に寂しそうで今にも泣きそうな顔をした。 少しの沈黙の後、膝の上でキュッと握り締められた彼女の拳が俺に伸び頭を優しく撫でた。 ヤ「その子とは・・会ってないのか？心残りとかあるんだろ？？」 内「・・・ん。想う気持が単純な物ならとっくに会いに行ってた。その事に気付かなかった自分がマヌケに思えたよ・・昨日」 ヤ「ふ〜ん・・・・き、昨日！？昨日って・・お前！？」 内「3Ｄ、恋愛至上主義の会員の俺としては・・」 ヤ「か、会員だったのか・・？」 内「ソコつっこまない」 ヤ「ハァ・・」 疑問を伺うような口ぶりの彼女が俺の頭から手を下ろした瞬間を狙ってその手を握る。 吸い込まれそうな大きな瞳を真っ直ぐと見つめると彼女も理解不能な顔つきで俺を真っ直ぐに見た。 心残りは・・自覚するのから逃げてた自分と想いを伝えなかった事。 内「俺としては、相手がその女じゃなきゃ意味が無い訳よ！」 ヤ「フン、フン・・納得！そうだそうだ！」 握った手の事を忘れている様な感じの彼女には納得されてしまった。 ・・・が、気を取り直して一言。 内「だから・・ヤンクミじゃなきゃ意味無いの♪」 ヤ「フン、フン。そうか！・・・・・・・・・・・・・・て。　え・・・・・えええええ！？」 　 夜の公園に響き渡るくらいな大きな叫び声に思わず笑ってしまった。 やっと思い出してくれた俺の手の存在にぎこちなく固まる彼女を開放してやる。 内「未練タラタラなんてかっこ悪ぃジャン！ハァ、スッキリした〜♪」 夜空に向けて大きく背伸びしながら言うと彼女が慌てて立ち上がった。 ヤ「あ・・あのさ。その〜あたし・・何て言ったらいいのか・・」 内「・・・・それでいいよ。普通だと思うし・・・けど今言った事マジだから」 ヤ「２日・・いや、３日・・・時間くれ！真剣に・・その色々考えるから・・」 迫力のある強い瞳に俺はふざけながら了解の素振りをしてやると彼女からは安堵の笑みが零れた。 ーーーーーーー家に帰ると待ってましたと言うような母親の仁王立ち姿。 母「あ〜ら！今日も帰りが遅いんですわねーーｖｖ」 内「悪いけど、こう見えても暇じゃねーんだよ！」 母親の横を素通りして台所の冷蔵庫へ向かう・・・・・・・・が！ 母「へ〜〜♪お母さん晴彦のお相手が久美子先生なら大歓迎よーーｖ」 狭いアパートに何故か多い家具に足の小指を打って負傷。 そんな俺に何故か勝ち誇った様な顔をする母。 （痛てぇ。。すでに・・名前呼びなってるし） 睨みながら足を引きずり風呂に逃げ込んだのは言うまでは無い。 ************************************************************************************************ 現実なんて・・しょせんこんなもの。 < 自動販売機の前で思わずしゃがみこんだ。 来ない　イコール　失恋てヤツですか・・？ 内「つまんねーの」 いつもの様に数本の缶ビールを買い足を公園に踏み入れる。 いつも座るベンチに腰を下ろし外灯に照らされた公園を見渡す。 昼は子供達で賑やかで暖かい空気に包まれた公園なんだろうけど今は誰一人居なくてガラリと静かで・・。 そっか・・いつもは二人だからこんな事にも気付かなかったのか。 今更ながら彼女の存在が大きくなっている事に自分自身に苦笑した。 無造作に側に置かれた袋から一本を取り出しソレを口に一口運ぶ。 内「・・・・・・まず」 小さく呟き頭を抱えた。 いつも横に座ってケラケラ笑う彼女はソコには居なくて・・ココは虚しい世界に思えた。 一人で飲んでもただ不味くて・・とても苦いその味。 またあの仕事に追われた日常へ戻って行くんだ・・それでも今までよりマシなのかもしれない。 未練だらけのこの気持を伝える事が出来たのだから・・と言い聞かす自分と 笑い飛ばしてでもいいから・・・また俺の話しを聞いて欲しい。ただ側にいて欲しい・・まだそう思っている自分。 （また矛盾かよ・・・） 気付けば・・涙。 彼女の事で泣いたのはこれで２回目。 あれは退職騒動の時・・・・・あの時に本当は自覚していたのかもしれない。 その前は・・・・ああ、親父が死んだ時か。 もう・・何が悲しくて涙が出るのかさえ自分でもよく分からなかった・・。 ただ会いたくて・・・押し寄せてくるのは後悔に似た気持ばかりで。 （バカみて・・・・俺。） 帰ろうとした瞬間。ーーーーーーーー不意にベンチの後ろからそっと何かに包みこまれた・・それは紛れもなく彼女の細い華奢な腕。 自分より大きな俺を抱きしめる手や体は震えていた。 ヤ「ひ、一人で飲んでもまずいに決まってるじゃん！」 内「・・・・・・て言うか、遅せーよ」 「すまん・・生徒が・・」と耳元で小さく呟いた彼女の声は熱くて走って来たのか息が乱れていた。 生徒が起こした問題も気になるが今はもっと聞きたい事がたくさんある。 例えば・・背中から俺に絡みつくこの腕。 内「あのさ・・この状況の意味を教えてくんない？」 　　 ヤ「・・・・あ・・あたしが聞きたい。何で！何で・・」 −−−−−−−−−−−−−−−−泣くんだよ。 　　 どれくらいそのまま時間が経ったんだっただろうか・・ 泣くんだよ？と聞く彼女が反対に泣いて・・何が何だか分からないこの状況にただ答えが出るのを待った。 　 不意に彼女は俺の手から缶ビールを取り上げるとコクコクと喉に流しこみ公園内のブランコに向かった。 益々意味不明な行動の背中を仕方なく追い、揺れるブランコに乗る彼女をただ見つめ言葉を待つ。 ヤ「あ、あたしさ・・お前が思ってる程・・お前の事好きだよ」 内「意味分かんねー・・・・その言い方」 ブランコから飛び降り手を広げて俺の前に見事に着地すると、唖然とする俺の顔を見て柔らかく微笑んだ。 （１０点・・・） ヤ「もっと学習しろ」 体操の大会なら俺は１０点の札を上げてるだろう・・・ 追いつて行かない頭は関係のない事を考えて・・結論を出すのは学習が足りない分本当に遅かった。 内「俺の人生も・・捨てた物じゃねーかも」 ヤ「捨ててたのか？」 内「今さっきまで・・」 ヤ「ばーーか」 また缶ビールに口をつける彼女はまた何処か居心地の悪そうな顔を向けたが 俺もここまで来てもう引いたりなんてしない。 内「俺・・やっぱお前の事好きだわ。昔も今も・・これからもずっと」 ヤ「なっ！///////日本人は///あんまりそういう事を何度も言うもんじゃねーよ！///」 内「誰が決めた訳？」 ヤ「・・う。あたし・・」 その時・・・頭に何故だかあの勝ち誇った顔をした母親の顔が浮かんだ。 内「第一、久美子にしか言わないんだから別に良いジャン♪」 ヤ「く、久美子って///」 もう・・我慢が出来なくなって言葉の途中に腕を引き抱きしめると彼女が持つビールが地面に音をたてて滑り落ちた。 けど・・彼女の表情は見えなかったけど名前で呼んだ事は本人は嫌じゃなかったみたいだ。 何故なら恥ずかしがり、言葉に詰まる彼女の口ぶりがそういう風に聞こえたから。 彼女の頭を優しく撫でて小さくなっている肩に手を添え彼女を覗き込む。　 　　　 内「・・なぁ。目つぶってくんない？」 赤く頬をそめた彼女は近くで見るとやっぱり綺麗で・・ キョトンとした瞳は潤んでいて俺を見上げたまま優しく微笑んだ後・・・・ゆっくりと瞳が閉じられ長い睫毛が下りる。 それは俺にとっては最高の返事。 吸い込まれる様に彼女の唇にキスを落とした。 内「絶対離したりしねーから・・覚悟決めとけよな」 ヤ「先に覚悟しといてくれねーと困る」 内「昨日・・宿題の意味分かってから・・もう、決まってる」 ヤ「やって来たんジャン・・宿題」 内「そのせいで・・昨日寝れなかった。・・おとしまえ取りやがれ」 ヤ「う〜ん。膝枕で勘弁してくんない？」 内「・・了解」 自称　純真無垢な男と・・　自称　純情可憐な女が・・寄り添った所でこの恋がどうなるなんて分からないけど・・ 　 流れた時間や隙間も恋人同士ならすぐに埋めあえれる。 抱き合いキスをすればもっと簡単な事。 胸に刻まれた　『恋恋』は今度こそ柔らかで優しい気持に変化する。 夜の公園・・彼女の甘い香りに包まれながら少し眠ろう。 それでも・・・目を覚ましても側にいる彼女は後にも先にもない・・ただ唯一の存在。 切なく痛い『恋恋』は・・・・・恋人の甘い物語に変わる・・・そんな夏の終わりの男女を描いたお話し。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　end 長かったですね。。（汗）((+_+)) 最後まで読んでくれてありがとうございましたーーｖｖ ちなみにタイトルは考えて×２・・悩んで×２・・　『恋恋。』にしました。 未練の気持が強く、思いきれないさまという意味だそうで・・ヽ(^。^)ノ←（辞典で調べました） うっちーの母親のサスペンス好きなヒントはスタンドアップからもらいました（パクリ） こねを機会に有希もＨＰ作ろうかしら・・ｖｖ（爆弾発言？） (>_<)と一瞬思いましたが初心者な有希には無理難題な事が多すぎ・・・（沈下） ま・・考え中ですけどね・・☆笑☆ 有希様、とっても切なく甘い素敵な小説をありがとうございました。