必要以上の電話とメール・・普段決して使わない様な言葉と口調・・ 他の男の所有物では無い事実は何度も調査と確認をした。 同じ失敗で２度とフクロにあうのはごめんだから・・・・あれ以来項目は一つ増えた。 自分を押し殺した自分を見せるのもそろそろ嫌気がさし・・「落とせないかも」なんて最悪な言葉が頭に浮かび出し、 諦めモードに入りかけていたそんな３日後・・・やっと報われたのだ。 「別に・・いいよ。付き合ってあげても」 『恋愛至上主義』・・それは恋愛を人生において最高だと思う人の事。 （それって・・・まさしくこの俺の事ジャ〜ン！） ガッツポーズをしながら空を見上げると太陽が眩しかった・・・・俺の夏はまだ始まったばかり。 　　　　 燦燦。 青春時代を真っ盛り・・の高校生活は男ばかりに囲まれた男子校。 何故ココに入ったのか・・今更のくだらない事を何度口にするだろう・・教室の中の会話。 只今、５限目真っ最中だが大山の生物に誰が耳を貸そう・・この教室。 授業にならない教室の中、学ランのポケットから携帯を取り出しまめにメールをする。 絵文字は当たり前。　ハート付きは・・絶対条件。 いわゆる・・ラブコールじゃなくて、ラブメール？ 不意に嫌な視線が横から感じ正体を確認するとパソコンに夢中だと思っていた野田が不適な笑みをコチラに向けている。 （ゲッ・・嫌な笑いしやがるな・・コイツ） そう感じた矢先の事・・・彼は３Ｄの視線をわざと引くように大きな声で俺に問う。 野「よ〜よ〜南〜！最近ナンパに成功した子と付き合ったんだってな〜？？」 さすが野田猛。情報早ッ・・・・それを何処で？？ 風邪を引いた時、俺を差し置いて合コンのセッティングするだけの事はある。 女好きな俺の事を良く知るそんな彼が最近の俺の行動に気付かないハズが無い。 南「ま〜な♪」 横の席から未だ不適な笑みを向ける野田にはお構いなく携帯画面に落とした目線をそのままで軽く返事をすると、 それに３Dの連中が騒がないハズが無い訳で・・気付けば皆の視線が俺に集中している。 内「ええー！？マジかよ〜！？」 クマ「ど、どんな子？？」 ファッション雑誌を読む一人の男を除いた仲間達の興奮したその声、視線。 興味津々な顔つきに殺気と嫉妬の入り混じった教室全体の空気に思わず苦笑が零れる。 そんな俺を見ては何処か満足そうな様子の野田の笑みが色々と深く物語っていた。 南「ど、どんなって・・・・」 髪はセミロングの茶髪。 モデルの様なスラリとした伸びた背とスタイルに街の人ごみの中の俺の目が光った。 付き合ってまだ１週間の彼女の事をあまり知らないのが正直な所。 あ、けど・・今回もわがままで自分勝手な女・・カナ。顔は・・可愛いけど。 南「今風・・てヤツ？」 皆の期待を裏切った様な愛想の無い答えに教室中からブーイングの嵐だったけど、俺なりに正直に答えたつもりだった。 服装も髪型も・・・・言えば、性格も・・・今風な女。 けど、それは流行に後れてない女って事だろう？？・・そう、今風と答えるのが一番妥当だ。 まあ・・嫉妬されてもおかしくは無い。何故ならもうすぐ高校生活最後の夏休み。 白金学院に３年Ｄ組に通う生徒が夏休み前に彼女が出来るという事実は奇跡に近い事な訳で・・そう考えると口元が自然と緩む。 内「慎もたまには、何とか言ってやれよーー！」 慎「別に・・・良いんじゃねーの」 野「ま〜た〜慎は！！慎って本当に女に興味ないんだな〜」 クマ「野田！いいじゃん別に〜慎は俺らと違ってそんな話し・・」 慎「案外・・・・・そうでもないかもよ」 静かに笑いながらサラリと言った彼の言葉は３Ｄ皆にとっては爆弾発言と言っても過言ではない事で・・ 俺にとっては何とナイスタイミングで爆弾を落としてくれたと言った方が良いだろう。 向けられていた数えきれない程の視線は、今はもうすでに慎にむけられ机の周りを男だらけで占拠されている。 騒ぐ連中の側でチラリと黒板の横に貼られた時間割り表に目をやると、本日最後の６限目は我らの担任ヤンクミと確認。 （・・て事はホームルームもそのまま突入・・か。・・慎の言葉もかなり気になるけど・・今は・・） その与えられたタイミングを有効に使うためにも、皆が騒ぐ中を見計らって俺はその場から脱出する事を決意した。 ************************************************************************************** 南（脱出成功っと・・） カチカチとライターで煙草に火を点けると静かで広い屋上にはやけにリアルにライターの音が響いた。 屋上の柵にもたれ掛かりながら遠くの景色を眺めると何だか虚しく感じ、汗ばむ体がココに来た事を少し後悔させた。 学ランのポケットからまた携帯を取り出し途中だったメールを再開しようと携帯画面にまた目を落とす。 ニヤけながらすでに３つ目のハートマークを最後に入れて送信ボタンを押そうとした瞬間・・・・ ーーーーーーーーーバシン！！　また邪魔が入った・・。 南「いっ・・痛って〜〜〜！！」 不意に頭に感じた痛みに驚き両手で頭を抱えると、思わず吸っていた煙草が口から地面に虚しく落ちた。 ヤ「没収ー！！」 南「不意打ちかよ・・」 ご立腹な様子な担任の彼女に手を差し出され渋々煙草とライターを手渡す。 （これも、もう何度めの事か・・） ヤ「授業さぼるなっていつも言ってんだろ〜が！・・・・たく。あたしの立場にもなれってんだ〜！ 　　大山先生、あ〜見えてすごく嫌味なヤツなんだぞ！！すぐ教頭にちくりいれるし！ 　　変な人だし！気持悪いし！眼鏡外したらもっと怖い顔してるし！」 南「ヤンクミ・・何もそこまで同じセンコーの文句・・・生徒の俺に言わんでも・・」 ジャージのポケットに没収した煙草を、まだブツブツ文句を言いながら直す彼女を見て少しの同情と少しの罪悪感。 その時何故か浮かんだ不とした疑問・・・この事がきっかけに俺の生き方が１８０度変わる事になるなんて・・。 南「没収した煙草・・・・」 ヤ「なんだ〜！？返せとかあつかましい事、ぬかすんじゃねーだろうな！？」 南「・・違げーよ。・・・ソレいつもどうしてる訳？・・」 ヤ「あたしが吸ってる」 南「え・・・・・ええっー！？お、お前っ・・」 ヤ「嘘」 南「・・は！？・・てか、び、びったぁ〜。・・・マジで・・」 驚いた時に出来た胸の鼓動は中々治まらなくて、何故だか絶対嫌かも・・なんてまだ思ってる自分に複雑な心境に駆られたけど、 ケラケラ子供の様に笑いながら「直してある」と言う彼女は、俺の驚いた反応がよほど可笑しかったみたいで しばらく一人お腹を抱え笑い続けそんな彼女の笑い声が屋上に優しく響いた。 彼女と過ごす２人だけの穏やかな時間はとても新鮮で、先程までココに来た事を少し後悔していたけどその事は既に頭から消えていた。 広い屋上が二人だけの世界みたいで・・向けられる笑顔も今は俺一人の物。 何だかくすぐったくて嬉しくて・・自然と自分まで優しく笑ってる。 俺しか知らない彼女の一挙一動が目を離せなくて、この気持を言葉で言うなら・・そう・・ ・・・愛しい・・・ 南（俺・・なんか変かも） 今までとは違う胸の鼓動。　優しく熱くなり響くその音は締め付けられる様に切なくて・・・痛い。 女の煙草なんて珍しくもなければ嫌だとか考えた事もなかった・・・・現に、今の俺の女も吸ってるし。 ただ・・・・綺麗な彼女が汚されるみたいで・・愛しい彼女が。 綺麗・愛しい・・彼女にそう感じてしまった俺。　 南「やっぱ・・俺、今日変だ」 ヤ「お前はいつも変じゃん」 南「なっ！？うっせーよ！・・・第一だな・・な、何でココいんのよ？　ヤンクミは、今授業じゃねーハズだろ！？」 だからココ来たのに。・・・・とはさすがに言えない。また頭を叩かれるのはごめんだから。 そんな彼女はまるでその質問を待っていたように悪戯っぽい笑みを俺に向ける。 ヤ「へっへ〜ん！職員室で答案作ってたらな〜あたしの携帯に密告のメールが入ってな☆」 （・・・あいつらぁ・・・怒　） 多分・・慎の爆弾発言の後は結局、有耶無耶にされ面白くない面々は俺の事を思い出し強行に出たのであろう。 考えれば想像がつく・・・自分だったらどうするか考えれば簡単な事と言うのが情け無い事なのだが・・。 呆然とする俺に、少し威張り気に胸を張りながら「ほれ」なんて言いながら携帯を俺の前に突きつける。 画面の内容を一応確認・・・・・・・・・・・・・頭を落とし深い溜息が零れた。 [　屋上に３Ｄ一番の女たらしが逃げ込んだ！捕獲するべしｖ　] 最後についたのハートマークが今まで自分が彼女にしてたメールを連想させ深く虚しく感じた後は・・・無性に腹だたしい気持に駆られる。 南「３Ｄ、恋愛至上主義、会長の俺としては仕方ねーんだよ！メールも電話も！アイツらが変な嫉妬してるだけじゃん！」 ヤ「か、会長だったのか・・？」 南「ソコつっこまない」 ヤ「はぁ・・・」 教室でのやり取りと、今までの涙ぐましい努力と苦労の末に手に入れた女について熱く語ってやる。 話しながら胸に痛みを覚えたけどそれでも必死に今までの事をぶちまけた。 そんな俺の話しを優しく微笑みながら一つ一つ頷き真剣に聞く彼女は最後少し悲しそうだった。 そんな顔をさせているのは自分なのかと思うと言いようの無い様な気持に駆られ押しつぶされそうだった。 ヤ「勿体無いなぁ〜」 南「勿体無い？？何・・言ってんの？お前」 俺に背をむけ柵にもたれながら遠くの景色を眺め一つ大きく背伸びをする。 ヤ「お前さ、恋愛至上主義の恋愛の意味わかってる？」 南「・・・・・・・・・・・・」 何も返事をしない・・返事が出来ない俺に、微笑んだのが背を向けたままだったけど俺には優しく伝わった。 ヤ「恋愛って・・恋だぞ。恋の感情は・・愛。そう考えると南の恋愛は・・ホラ・・何だか・・勿体無いじゃん！ 　　お前はいい男なのにさ〜！彼女が本当の南を知らない事も、もっと勿体無い。 　　作らない自分見せたら彼女はもっと南を好きになるんじゃねーのかな♪」 彼女から恋について学ぶ事があるなんて・・・・情けない様な、嬉しい様な・・ そして何よりも、今自覚してしまったこの気持を教えたのは何を隠そう目の前にいる彼女。 ヤ「ちなみに・・あたしは普段の南、好きだよ」 クルリと振り返り最高の笑顔でそれを言われてしまえば・・この笑顔を一人占めしたいと思うのが普通の事になるから不思議だ。 （ソレ・・・反則） 「好き」・・・とか普通に言われたのはじめてなのかもしれない。 いつもは自分が好きだだの、愛してるよだの、軽々しく使っていた言葉だけどこんなにも重い言葉だなんて考えてもみなかった。 南「没収した煙草・・・いつか返してくれんの？」 ヤ「いい男になったらな」 南「二十歳になったらって言えよ・・普通。」 ヤ「いい男の大人になったら返してやるよ」 南「チェ。・・・・けど、そうなった時・・ヤンクミ俺に惚れるかもよ」 ヤ「そうだな〜♪そん時はヨロシク頼むよ」 ・・・頼むよ・・・ 微笑みながら俺の瞳をまっすぐに見て言った彼女の言葉に胸が熱くなる。 校内に５限目を終えるチャイムが鳴り響く・・それは俺の胸で何かが新しく生まれ変わった合図かの様に。 南「・・まかせろ」 静かに言った俺の言葉に柔らかく微笑み俺の腕に手を絡ませると二人同時に笑って屋上を後にした。 ************************************************************************* ヤ「南、無事捕獲しました〜！！」 ３Ｄに足を踏み入れた瞬間に彼女の発した言葉に待ってましたと皆が大爆笑。 南「俺は人間だっつーの！」 ・・とか何とか言ってるけど腕を組まれたまま教室に入るのって・・悪くないし。 笑い騒ぐ連中の机と机の隙間をすり抜け、頭を掻き毟りながら照れ隠しをして自分の席に向かう。 野「かわいそ・・捕獲されたのか〜？（笑）」 南「お前らが仕組んだんだろ・・」 内「何の事かな〜？僕達分からない〜！」 ふざける面々に益々教室が大爆笑だけど、屋上の事での事を思い出すと自然と口元が緩む。 南「ま・・・それで良い思いもした訳だけど」 ボソリと呟いた一言は笑い声に紛れて皆には聞こえなかったけど・・ いつもは何事にも興味無さそうな彼だけは違って雑誌から目線を外し俺を不快な顔つきで見たのが視界にそっと入ったんだ。 後ろを振り向くといつもの席、いつもの様に静かに雑誌に目を落としている。 （何・・？何だったんだ・・？気のせいか・・・） 変な違和感を感じたがその時はまだ深く考えなかった。何故なら俺には今やるべき大事な事が一つあるから・・ 南「・・・さてと」 意を決し学ランのポケットから出した携帯。途中だったメールの内容をすべて消去して、新しく一文字一文字間違いのない様にボタンを押す。 内「また女にメールかよ〜！？熱っい、熱い！」 クマ「な〜な〜どんな内容な訳？？」 野「お〜！？クマたまにはいい事言うじゃねーか！興味あるね〜〜！！」 クマ「野田・・お前、ウルサイヨ」 我が先にと言うように机の周りを囲まれ覗き込まれるが隠したりなんてもうしない。・・寧ろ見せてやりたいその内容。 内「え〜っ、何何っと・・・・」 [　俺、お前の事惚れた訳でもないし、好きじゃねーからやっぱいらねーや。] 野「・・・・へ！？」 内「何・・コレ？」 南「見たまんまだけど〜♪」 初めての絵文字も絶対条件だったハートマークも無い文字だけの何とも愛想の無いメール。 俺を囲み携帯に釘付けの仲間達は驚きの表情を隠せずまるで物珍しい物を見た様な顔つきでそこにいる全員が俺を見る。 けど、何処かそれを一番後ろから非常に面白くなさそうに見ているヤツがいる・・今度は気のせいなんて物じゃ無い。 すべての謎が解けた様な・・そんな晴れ渡った澄みきった様な俺の心。 南「プッ・・クックッ・・」 駄目だ・・笑いが止まらない。そりゃ〜他の女になんて興味持てない訳だよな・・・・そして爆弾発言の意味もコイツらに解けるハズが無い。 いつも何気に彼女を支え気付けばいつも彼女の側の特等席に座っている。 最高のプレゼントをもらった彼に振り返り、俺も彼には満面な笑みを一つお返しにプレゼント。 南「面白くなってきたかも」 慎「・・俺は全然面白くねーけど」 特等席に座るのは一人だけ・・そして彼女を独り占めしたいのが当たり前。 ヤ「何だ？何だ〜？南・・お前別れんのか！？」 南「ま〜な〜」 ヤ「なっ、なんでだよ？　もしかして・・あたしが言った事気にしてんのか？だったら・・」 覗きこむ様にして俺の事だけを見て心配する彼女の顔はそれは可愛くて可愛くて・・愛しいただそれだけ。 南「ち〜が〜う〜って！！全然違うー！」 ヤ「ほ、本当か・・？？」 南「おうよ！あの女には俺が勿体無い！」 俺の言葉に柔らかく微笑む彼女の顔を見れば胸がいっぱいになって彼女の前に携帯を突きつけ送信ボタンを押した。 そして彼女の耳元に口を運び優しくささやく。 南「だってよ・・・担任の女にマジ惚れたから」 それは周りからしたらスローモーションに見えただろう・・ 半分笑って、半分真顔で言ってからキョトンとする彼女を覗きこむ様にして彼女の唇に触れるだけのキスを落とした。 ・・・・・瞬間。信じられないこの光景に教室の空気が固まり、漠然とした筋の見えない話しの後は愕然とした空気が俺にとっては優越感。 ヤ「お、おお、お前///何しやがるんだぁ！！////」 南「ヤンクミには悪いけど・・ファーストキス俺がも〜らった♪」 クマ「も〜らった♪・・・て。・・南・・」 内「今、ソコつっこむ所じゃねーだろ・・クマ」 野「・・同感」 ヤ「なっ///なななな///お前は悪ビレも無く・・・よくもそういう事を〜・・第一だな！！・・その・・」 ーーーーーーーガタッン！！ その教室中に響き渡った音に彼女の言葉が止まり、そして皆が体を皆震わせ静寂を取り戻す。 椅子を蹴り飛ばす様に立ち上がったのは、静かにそして冷静に今の状況を眺めていた一人の男。 沢田慎・・親友の彼は今日から俺の恋敵。 慎「悪ぃーけど、ソイツのファーストキス・・お前じゃねーし」 南「ハッ！？・・・・・・ま、まさか」 嫌な予感。冷や汗が出そうな・・胃が締め付けられる様な感覚。 ３Ｄの連中は交わされる会話に付いて行けなくて皆が疑問を問う顔つきで見守るしかない今のこの状況。 慎「・・昨日・・」 南「・・昨日？？」 慎「俺がもらったから」 本日、２度目の爆弾発言投下に何人の生徒が倒れただろう。 大失敗・・一足遅かったと言うか・・こんなに後悔した事は今までの人生にあっただろうかと考えさせられ、 それと同時に俺の恋敵は何とも厄介な人物に当たってしまった様だと深く確信させられた。 皆は・・愕然。 俺は・・脱力感。 当の本人は・・涼しい顔付きで鞄を持ち教室のドアへと足を勧める。 慎「悪ぃな・・南。　お先で」 ドアの前で振り返り何を言うのかと思ったら彼からは嫌味な謝罪を俺にプレゼント。 ニヤリと悪戯っぽく笑いそのプレゼントを残した彼は教室を後にした。 −−−−−−パタン。 虚しく扉が閉まる音を合図に体中に言いようの無い電気がビリビリと走り、 腹の底から体全部に今までに感じたことの無い力が沸いてくる。 南「・・・・・・ち」 　　　 クマ「・・・ち？？　あ、あの・・」 野「み、南くーん？？」 　 南「チクショーーーーー！！上等じゃねーか！！あの野郎〜すかしやがってーーーーー！！」 校内に響き渡るその叫び声は職員室の教頭まで届いたと言う。 放課後こっぴどく嫌味と説教を浴びせされられる担任に皆が同情したのは、翌日げっそりとした担任を見てからの事だった。 「俺・・複雑かも・・」 誰かが小さく呟いたこの言葉。　そう、俺はもう一つ失敗をした・・・・これが本当の大失敗。 今日の行動で何人かの生徒が今まで気付かなかった想いを自覚へと　 導く鍵の様になったなんて事はこの先に嫌な程、解る事になるのを俺はまだ知らない。 ３Ｄの一番のトラブルメーカーは何を隠そう・・いつも担任。 俺の・・愛しの女。 ************************************* 『燦燦』・・それは美しく、鮮やかに光輝くさま。 深い眠りから覚めた様に胸の中で燦燦と芽生えた愛。 「まかせろ」と言った精一杯の愛の言葉を胸にもう一度深く深く刻む。 綺麗な・・今はまだ子供様な愛だけど、俺の夏と恋はまだ始まったばかり。 ・・・・そう、全ては優しく暖かい『燦燦』な想いから始まる。 これは・・そんな『燦燦』な大人を目指すと誓った日の一人の青年を描いたお話し。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　end 有希様、今回はUPが大変遅くなってしまって申し訳ありませんでした。 南クミに、サラリと慎クミ！な楽しい小説をありがとうございました。