小さな嵐




昼休み。


「ホントっ!!すごいじゃんっ!!さすが、花輪くんだね〜」


・・・・・・まただ。


「それで、さっそく今日家に食べに来ないかい?」


「えっ、いいの〜?!!行くっ、絶対行くよっ!!ありがとー♪」











「大野っ、おいっ!!」


「・・・・・・・・・・・・なんだよっ!!」


「お、お前、なに怒ってんだよっ・・・」


「・・・・・・べつに・・・・・・」


「べつにって、お前・・・すげー、こえー顔してるぞ?」


「・・・・・・・・・・・・・・・」


「あれ?さくらと花輪じゃねーか・・・


は〜ん、さてはお前、またあの二人のこと気にしてんだろ」


「!?!?!?!」


「まぁ、あんなに楽しそうにしちゃって、お前の気持ちもわかるけどよ〜」


「な、なにいってんだよっ!!べつに、あいつらのことなんてっ!!」


「あー・・・はいはい。で?あいつら何の話してんの?」


「・・・知るかよっ!!また、食いもんの話でもしてんだろっ」


「・・・お前さ〜、そんなままだと、マジで花輪に獲られちまうぞ〜」


「っ!!・・・・・・なんのことだよっ・・・俺はっ・・・・・・」


「なんだよ、好きなんだろ?」


「・・・・・・・・・・・・は?」


「だから、好きなんだろ?」


「・・・・・・だれが?・・・何を?」


「お前が。さくらを。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「お前、さくらのこと好きなんだろ?」


「は・・・はあぁぁぁーーー?!?!?!」


「・・・・・・もしかして、お前・・・自分で気づいてない?」


「気づくって、なにをだよっ!!」


「大野・・・お前って・・・けっこう鈍感な奴だったんだな・・・」


「お前、さっきからなにいってんだよっ!!」


「いつも見てるだろ?さくらのこと」


「み、みてねーよっ!!」


「花輪とさくらが話してんの見ると、ムカつくんだろ?」


「・・・・へらへらしてるさくらが、ムカつくだけだっ!!」


「やっぱみてんじゃん」


「・・・い、いや・・・それは・・・あいつがいつも変なことしてるから・・・」


「でもお前、山田は見てねーじゃん」


「見るかっ!!」


「さくらより山田のほうが、何倍も変なことしてんのに、なんてさくらばっかみてんだよ」


「そ、それは・・・・・・・・・」


「好きだからだろ?」


「・・・あいつ見てると、むかつくんだよ・・・むかつくんだから、好きなわけないだろ」


「・・・・・・大野・・・・・・やっぱお前、鈍感・・・」








「ーーーあれ?大野君と杉山君が昼休みに教室にいるなんて珍しいね」


「ッッ?!?!」


「おう、さくら。お前こそ、花輪となに話してたんだ?」


「え?あ、なんかすごいチョコレートが届いたんだって〜!!


だから、今日の放課後、食べにいく約束してたの」


「へ〜・・・お前と穂波って、しょっちゅう花輪んとこ遊びにいってるよな」


「そう?でも、今日はたまちゃんが用事あるっていうから、一人なんだけどね」


ーーーーーーガタンっ!!!


「ーーーな、なんだとっ?!?!?!」


ーーーーーービクっ!!!


「ーーーえ、な、なにっ???!!」


「・・・・・・大野、落ち着け・・・・・・」


「・・・・・・あ、・・・いや・・・なんでもない・・・」


「びっ、びっくりしたっ!!お、大野君、いきなり大声ださないでよ〜」


「・・・・・・・・・・・・・・・」


「どうしたの?なんか、機嫌悪い?」


「べつに・・・・・・でも・・・、お前もずうずうしい奴だよな。


いくら花輪が金持ちだからって、しょっちゅう食べさせてもらってるなんて」


  「え・・・?」


「お前、花輪に悪いとか思わねーの?いいように利用されて、花輪も可哀想な奴だよなっ」


「お、おいっ!!大野っ!!お前、なにいってんだよ」


「・・・あ、あたし・・・べつに、利用とか・・・そんなこと・・・」


「・・・・・花輪も好きでやっるみたいだし?・・・俺にはかんけーねーけど・・・」


「大野っ!!」


「・・・・・・・・・そ、そうだよっ!!」


「っっ!!」


「関係ないんだから、いちいちそんなふうに言わないでよっ!!バカっ!!!


ーーーー大野君なんて、大っっ嫌いっ!!!!!」


ーーーードダダダダッ・・・・・・


「さ、さくらっ!!・・・お、大野っ!!バカかお前はっ!!・・・・って、大野?」


ーーーー大っっ嫌いっ!!!!


・・・・・・大嫌い


・・・・・・・・・・・・大嫌い














「・・・・らい・・・・・・・・・だい・・・・・・・・・・・・・・」


「お、大野?だ、大丈夫か・・・?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・大嫌い・・・・だってさ・・・・・・・」


「・・・はぁ・・・さっきんのは、お前が悪い。なんで、あんなこといったんだよ」


「・・・わかんねーよ・・・わかんねーけど・・・すげー、むかついたら、止まんなくなった・・・」


「やっぱお前、バカだな」


「・・・・・・自分でもそう思うぜ・・・・・・


あんなこと言うつもりなんて全然なかったんだけどな・・・」


「とにかく、早くあやまっちまえよ?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ・・・」








昼休み ー裏庭ー


「・・・・・・まるちゃん?」


「あ・・・・・・、たまちゃん・・・・・・」


「教室にいないから捜しちゃったよ!・・・・・・大野君となにかあったの?」


「えっ?!な、なんで?」


「教室のみんなが言ってたから・・・・・・」


「・・・・・・・・・ねぇ・・・あたしって・・・・・・・・・」


「?ーーーあ・・・・・・大野君・・・」


「!!!!」


「・・・・・・・・・・・・・・さくら・・・・・・・・」


ーーーーぷいっ


「!・・・・・・・・・・・・・・・」


「あ、お、大野君?・・・い、いいの、まるちゃん・・・大野君いっちゃったよ?」


「・・・・・・・・・・・・・・・知らないっ・・・・・・」


「・・・・・・まるちゃん・・・・・・」








放課後 ー教室ー


「・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・で?・・・結局謝れなくて、そうやって項垂れてんの?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・お前ってさー・・・自覚ないくせに、すっげー嫉妬深いよな」


「・・・なんだよ、それ・・・。第一、俺はさくらのことなんか好きじゃねーっていってるだろ?」


「嘘つけ。・・・・・・ホントは、ちゃんとわかってんじゃねーの?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」








放課後 ー花輪邸ー


「どうしたんだい?」


「・・・・・・えっ?」


「口に合わないかい?」


「あ、ううん・・・おいしいよ〜、すごくっ・・・」


「でも、元気がないね・・・?」


「そ、そんなことないよっ」


「・・・ねぇ、さくらくん・・・。」


「・・・・・・?」


「ぼくはさ。君が、美味しいって嬉しそうに食べてくれるのを見るのが、とっても好きなんだ」


「!!」


「だから、君が本当に嬉しそうに、美味しいって笑ってくれれば、僕も嬉しいんだよ」


「・・・・・・うん・・・ありがとっ・・・!!」


「こちらこそ、ありがとう。・・・さっ、まだまだあるから、一杯食べていくといいよ」


「うんっ!!」








翌日の放課後 ー校門前ー


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「なんかお前、もう再起不能って感じだよな」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「さくらの奴も、思いっきり無視決め込んでるし・・・かなり怒ってるな、ありゃ」


「・・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・はぁ・・・俺まで、辛気くさくなってき・・・」


「ーーーー大野くーんっ!!」


「?!?!?!」


「さくら?」


「はぁ・・・はぁ・・・つ、疲れた・・・はぁ。・・・大野君っ!!」


「ッ?!ーーーな、なんだよっ?!」


「大野君、今日、暇?」


「・・・・・・暇・・・だけど・・・」


「じゃ、とうもろこし、好き?」


「は?・・・嫌いじゃねーけど・・・・・・」


「よかったっ!!今日、家のおかーさんが、とうもろこし茹でてくれるから、家に食べにこない?」


「・・・・・・な、なんで、俺がっ・・・」


「いってこいよ、大野っ!!」


「・・・・・・・・・・・・」


「ねぇ・・・、大野君っ、行こっ?♪♪」


「ッ!!!・・・・・・わかったよ・・・・・・」


「ーーーーーがんぱれよー、大野ーっ!!」








放課後 ーさくら家ー


「ただいまー!!」


「おかえりなさい・・・って、あ、あらっ?!!」


「・・・・・・お、おじゃまします」


「ま、まあ、や、やだっ!!こ、こちらこそ、いつもこの子がお世話になって〜」


「おかーさん・・・やだって・・・。友達つれてくるっていってあったじゃんっ!!」


「だ、だって、あんたっ、男の子つれてくるなんていってなかったじゃないのっ!!」


「男も女も関係ないじゃん。それに、べつに大野君にお世話になってることなんてないよ」


「あのね〜・・・・・・あんたってば、ほんっとに・・・」


「もー、なんでもいいから、とうもろこしは?」


「あ、出来てるわよ。大野君も、たいした物じゃないけど、遠慮しないで一杯食べてね」


「あ・・・ありがとうございます」








さくら家 ー居間ー


「キレーな色ー。美味しそうだね!!」


「・・・あ、ああ」


「いっただっきまーすっ!!」


「・・・・・・いただきます」


「・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・」


「・・・うまい・・・」


「・・・・・・うんっ!!おいしーー!!」


「・・・・・なぁ・・・なんで、誘ったんだ?・・・おこってんだろ?」


「怒ってるから、誘ったんだよ」


「・・・・・・?」


「大野君のいったこと、ちょっとそうかもって思ったけど・・・


花輪君、一緒に食べるのが好きだっていってくれたし


あんなふうに思う方が、失礼な気がしたんだ」


「・・・・・・・・花輪のため・・・か・・・・・・・・・」


「え?うーん、それもあるしー、大野君も一緒に食べようって誘われたら断れないでしょ?


ってことを、わからせてあげよっかなーって!!」


「・・・・・・・・・・・・・・なんだ・・・・・・・・そんだけか・・・・・・」


「あとはー、仲直りのきっかけがほしかったのとー、


昨日の夜、とうもろこしの皮むいてたら、大野君と一緒に食べたいなーって思ったから!!」


「ーーーーーなっ、なんだよっ・・・それ・・・!!」


「なにって・・・・・・ただなんとなくそう思っただけだよ?」


「・・・・・・・・・・・あ、あっそ・・・・・・・」


「あ、そうだ」


「?」


「バカとか、大嫌いとかいってごめんね?」


「・・・俺も・・・悪かったな・・・・・・・ごめん・・・」


「うんっ!!」








さくら家 ーさくら家の人々ー


「私だって・・・まだ男の人、家につれてきたことないのに・・・


ま、ま、まる子に、さ、先を越されるなんてっーーー・・・」


「わ、わ、わ、わしのまる子がぁぁぁぁぁ〜〜!!わしの可愛いまる子がぁぁぁぁ〜〜〜!!」


「あんなに格好いいなんてっ!!もう、おかーさん、どうしようかね〜〜!!」


「・・・か、かあさん・・・」


こうして・・・さまざまな嵐が、それぞれに吹き荒れているのであった・・・・・・。


終。








あとがき

セリフのみだと、やっぱ楽ですねー!(あたりまえだろっ!!)

シンプルなぶん、意味がわらりずらいでしょうか?

私は、思い描きながら言葉にしたので、楽しめましたが・・・。



このお話の中で、格好いいのは、大野くんではなくて、

杉山くんと花輪くんのお二人でしょう!!


でも、一番キャラが違うだろっ!!ていうのも、このお二人っぽいです・・・。


このお話を書いている途中は、花輪くんのシーンが、気に入りすぎて、

危うく花輪×まる子に路線変更しそうでしたが、がんばって踏ん張りました。

でも、今回みたいな花輪くんで、花×まるも書いてみたいなーなんて思いますね!!