大野くんの苦悩




ずっと見ていた女の子。

よく怒り、よく泣いて、そして・・・よく笑う女の子。

ドジで、バカで、鈍感で・・・人の気持ちなんかちっともわからない女の子。

それでも好きだと・・・そう思ったのは、4年前。

隣に並ぶだけでドキドキして、手を繋ぐだけでドキドキして、笑顔を見るだけでドキドキした。

けれど告白も出来ずに、早4年。

小学校から中学校へ、私服から制服へ、なんの進展もないまま時は無情にも過ぎ去っていく。

今でもあの頃と変わらず、ドキドキの連続で好きな気持ちは色あせることはないのだが・・・

近頃、成長とは時に困ったものであることを身をもって実感してしまった。

隣を並ぶだけじゃ物足りなくて、手を繋ぐだけじゃ満足できなくて、笑顔を見たらドキドキだけじゃ済まなくなった。

触れたいとか、触りたいとか、抱きしめたいとか・・・そんなことばかり思ってしまっている。

教室だろうが、道端だろうが、授業中だろうが、どこだろうが抱きしめたくなってしまう。

教室の窓ぎわで日を浴びながら楽しそうに話すのを見る度に、帰り道で少し先をはしゃいで歩くその子が笑顔で振り向く度に、
前の席で小さな背中が眠そうにユラユラして机に突っ伏す度に、思ってる。

つき合ってもいないのに、告白すらしていないのに、そんなことばっか考えてるなんて変態といわれてもしかたない。

幸いなんとか心の中で思うだけで抑えられるのだが、やっぱり限界というものは来るものである。









昼休み。授業中に居眠りしていたのがばれて課題を出されてしまったさくらが、
俺のところに泣きついてきた時が限界の時だった。

「お願い〜〜このとーりっ!!ね?!」

「な、なんで・・・俺が」

両手を合わせて、どうみてもおねだりしている顔にしか見えない可愛い顔で、さくらは見上げてきた。

「だって、たまちゃんはピアノのレッスンの日だしー・・・大野君、数学得意でしょ?」

「だ、だからってなー」

上目づかいで、思いっきり間近で小さく首を傾げるなっ!!

赤くなる顔を少しでも隠そうとそっぽを向きながらも、頭の中は抱きしめたいの一色で。

「放課後ちょっとつき合ってくれるだけでいいんだよー」

それが困るんだろうがっ!!

放課後、2人きりの教室。もう想像するだけで、頭パニック寸前で。

「じ、じぶんでやればいいだろうがっ・・・自業自得なんだしよっ」

「うー・・・。・・・じ、自分じゃ全部出来ないから、頼んでるんだよっ・・・」

「と、とにかくっ!俺はだめだっ!無理だっ!」

「えーなんでさー?!」

「だめなものはだめだっ!!」

「どうしても?」

ふ、服をひっぱるなーーっ!!

「ど、どうしてもだっ!!」

「本当に?・・・だめ?」

だからその仕草はやめろーーーっ!!

「・・・大野くん・・・だめ?」

「ッ!?!?」



・・・・・・・・・・・・・・・だ、だめだ・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「・・・わ、わかったよ・・・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・まじでだめだ・・・・・・・

「ホントっ!!やったーーーっ!!大野君、ありがとーーっ!!」

・・・・・・・・・・・・・ぜったい・・・やばい・・・・・・・

「お礼に帰りになんかおごってあげるからねー♪♪」

にっこり満面の笑顔でいわれて。撃沈していながらも、やっぱり思うことは・・・・・・抱きしめたい。











「・・・・・・ここがこうなって・・・・・・それでー・・・・・・」

夕焼けのオレンジ色が差し込む教室の中で、目の前のさくらは机に向かって、
ブツブツと呟きながら少しずつ問題を解いていく。

さくらが運んできた椅子に腰掛けて、じっとその姿を見つめてた。

机一つ隔てただけの少しの距離にある小さな存在。机の下で足が触れそうになって、
慌てて後ろへと下がったけれど、それでも手を伸ばせば簡単に届く。

いつでも手を伸ばせば届くところにあったけど、それでもずっと我慢してきた。

なにが伸ばそうとする手を押さえていたのかはわからないけど、
その鎖みたいなものも、しだいに脆くなっていくのが自分でもわかっていた。

目眩を起こしそうなほどの熱と鼓動を感じながら、さくらを見つめ続けているうちに手に痛みがはしった。



思えば、あの時からだったのかもしれない。

抱きしめたいと、触れたいと、強く思うようになったのは・・・。





好きなことも伝えられず、想いばかりが空回りして、今よりも重苦しくて悩んでばっかだった頃。

ドキドキする気持ちと、イライラする気持ちに整理もつけられず、歯がゆいことばかりだった。

見ているだけで苦しくなって、いつのまにか自分でも気づかぬうちに手を握りしめる癖が出来ていた。

「あ、大野君また手握りしめてるー。痛くないの?」

癖に気がついたのは、さくらのほうが先だった。

「あー、やっぱり・・・血がにじんでるじゃんっ!」

さくらの手で広げられた手の平は、爪痕がくっきりと残り赤く血が出ているところもあった。

「こんなになってるのに、痛くなかったの?・・・・・・はい、これでOKっ!」

俺の手のひらに絆創膏を貼り付けて、さくらは微笑んだ。

「あ、また握るっ!もう大野君、握っちゃだめだってばっ!」

無意識のうちに手に力を込めてしまう俺にさくらは笑顔を引っ込めてしまった。

けれど、癖になってるという俺の言葉に、急になにかいいことを思いついたようににっこりと笑って、
その小さな手で握り締める指を解くように絡ませて手を繋いできた。

「こうすればもう大丈夫でしょ?」

優しい温もりと、優しくまるで花のようにふわりとした笑顔だった。



苦しくて、荒んで、あんなに落ち着かなかった気持ちが不思議と落ち着くのを感じた。

でもそれと同時に意識した気持ち。

触れ合う指先、重なる手のひら、柔らかな感触。

今までは手を繋いでいるという状況だけでドキドキして、手のひらの感触を感じる余裕なんてなかったのに、



その瞬間、もっと欲しくなった。



暖かな、確かなものを、感じたくなった。

もっと触れて、・・・・・・抱きしめたい・・・そう思ったんだ。



それがハジマリ。









「・・・の・・・くん・・・・・・大野くんっ・・・?!」

少し前の出来事に思いを馳せていて気がつくと、さくらが机に両手をついて身を乗り出していた。

「どうしたの?」

不思議そうに見つめてくるさくらの顔を見つめながら、今だあの時の記憶からはっきりと覚醒していない頭は
のぼせたように惚け、心地よい熱い鼓動に身を任せてさくらにあの言葉を口にした。

「・・・・・・なぁ・・・・・・」

「なぁに?」

「・・・・・・抱きしめてもいいか・・・?」

「へ?」

さくらのキョトンと間の抜けた声と表情に、惚けていた頭がその瞬間一気に覚醒した。

数秒間固まってしまったが、自分の言ったあまりの言葉に恥ずかしさがこみ上げてくる。

なにを言われたのかよくわかっていないさくらは、相変わらずキョトンとしていて、
その純粋さに思わずガタッと音を立てて椅子を倒して立ち上がった。

「・・・わ、悪い・・・俺、帰るな・・・」

それだけ言うと、恥ずかしさと後ろめたさに慌てて教室を出た。

「大野くん?!」

さくらの声にも足を止めずに早足で廊下を抜け、外に出たときには走っていた。

自分でも信じられない。なんであんなことを言ってしまったのだろうか。

確かに想っていたけど、ずっと想っていたことだけど、まさかあんなふうに直球で口にしてしまうなんて信じられない。

行動に移すよりも恥ずかしくて、ひどかった。

不思議そうに見つめてきたさくらの瞳に、自分の醜い部分が映し出された気がした。

ずっとそういう目で見ていたんだと伝えているのと同じことを言ったのだ。

もう本当に変態といわれても仕方ない・・・。


なんて自分は情けなくてバカで醜い男なんだろう。











思い悩み苦悩する頃、さくら家の夕食後の一家の団らんでふとまる子がいった言葉に一家は衝撃を受けていた。

「そういえば、今日大野くんに抱きしめたいっていわれちゃった」

まる子がそのセリフをいったとたん、ゴンっといくつかの湯のみが音を立てて落ち、
煎餅を食べていた母と姉はそろって喉に詰まらせた。

「・・・ごぼっ・・・ごほっ・・・なっ、なんか今幻聴をきいちゃったわね・・・」

「・・・そ、そうだな・・・ほ、ほらじいさんもばあさんも湯のみ落とすなよ。・・・か、かあさん、タオルっ・・・」

「あ、はい・・・これ」

床に転がった湯飲みを拾いながら、お母さんの差し出したタオルを受け取ってそのままおじいさんに渡そうとした瞬間、
おじいさんは微かに震えながら勢いよく立ち上がった。

「ま、まる子やーっ!!わしだって、抱きしめたーーーいっ?!!」

友蔵の涙ぐみながらの叫び声に、間髪いれずにおばあちゃんの容赦ないチョップが友蔵の頭を直撃した。

「まったくこのじいさんは、なにをいってるんじゃっ」

「だ、だってわしのまる子が・・・」

「お、おばあちゃんナイス。・・・もう、あんたが変なこというから」

「変なことって、本当にそう言われたんだもんっ」

「「「え゛?!?!」」」

「放課後に勉強教えてもらってたら言われた」

「・・・・・・そ、そう・・・・・・」

「・・・い、意外と大胆ね・・・大野くんって」

「てゆーか普通そんなこといわねーだろー、その大野ってやつはアホだな。おまけに趣味悪い」

「そうよね〜・・・相手がまる子だなんて・・・」

「カッコイイのにねー」

「かっこいいのかい?」

おばあちゃんの問いかけに、お姉ちゃんとお母さんはそうそうと大きく頷く。

「まる子にはもったいないくらいの男前だわねー」

「男前でもアホで趣味が悪くちゃなー」

「・・・・・・まる子や・・・その男とわし・・・どっちが・・・」

「それでどうしたのよ?」

「べつに?大野くん、慌てて帰っちゃった。
 だから宿題も結局自分でやらなきゃなんだよね。お姉ちゃん、あとで手伝ってよ」

「それはいいけど。あんた、べつにって・・・」

「なに?」

「ドキドキしたとか、嬉しかったとかあるでしょ?」

「んー・・・よくわかんない」

少し考えるそぶりを見せるもすぐに煎餅をほおばって、まるで他人事のようにいうまる子に
問いかけた姉も好奇心に耳を傾ける母も心の中で大きく溜息をつき、話の中心である彼にたいしてひどく哀れんだ。

申し訳なく思う。

こういうことは当人たちの問題であり、この子供を好きになったのは彼自身であり、彼が決めたこと。

娘を妹をあんな男前が好いてくれるのは喜ばしいことであるけど、だからこそ申し訳なくてたまらない。

彼のためにもゆっくりとお茶を喉に流し込み、なんとか気を取り直して再度問う。

「ゾッとしたとか、気持ち悪かったとか、嫌、嫌いっ!とか思わなかった?」

いっているセリフのほうが何倍も失礼な気もするが、この際細かいことは関係ない。

「そんなこと思うわけないじゃんっ!だって大野くん好きだもん。そんなことで嫌いになったりするわけないじゃんっ」

まったく考えることなくすぐに答えを返し、さらりととんでもないことをいってのけたまる子に一同は驚いた。

まさかそんなストレートな答えが返ってくるとは思ってもいなかった。

嫌いではないということはわかっていた。たぶん好きなんだろうと。

でも本人は自覚してないだろうと踏んでいたのに、思わぬところでまる子の気持ちを聞いてしまった。

そしてそこまで来て、やっと2人は理解する。

娘は妹は、まだまだ子供。恋心もまだまだ発展途上。ドキドキする胸の高鳴りも甘い恋の駆け引きも知らないお子様。

母と娘は息をそろえ、大げさに溜息をつくと、やれやれというように肩をすくめてお茶を静かにすすった。

がんばれ大野くん。

彼にエールを送りつつ、ひっそりとお子様の成長の日を待つことにしよう。

「これから面白くなりそうだね、お母さんっ♪」

「そうねぇ〜♪」

近い未来にニヤニヤと笑みを浮かべる2人に、ひろしはただならぬものを感じて顔を引きつらせ、

「まる子はわしよりその男のことが好きなのかいっ!まる子に嫌われたら、友蔵生きてゆけなーーいっ!!」

突然泣き叫ぶ友蔵には、おばあちゃんの一撃が飛ぶのであった。











翌日。

一晩中、自己嫌悪に陥った俺は寝不足と未だ消えない苦悩に最悪の気分だった。

というより、さくらと顔を合わせるのが怖くて、学校を休もうかと思ったくらいだ。

それでもズル休みなどできるはずはなく、結局こうして学校へと向かっている。

もうすぐ校門、そして教室。

必ず顔を合わせるであろう教室で、たぶん初めて同じクラスなのを恨んだ。

どんな顔でアイツに向き合えばいい・・・?

アイツはどんな顔で俺を見るのだろうか・・・?

「大野くん、おはよー!!」

緊張感と重苦しい気持ちで教室の中へ足を踏み入れようとした時、
俺の背中に軽く手が触れて、聞き間違えることのないあの声が聞こえた。

「・・・・・・・・・・・・・・・」

思いがけぬ出来事に思考は固まる。

ただ明るい声と背中に数秒間触れた感触だけが、熱を高めて。

固まったまま声を返すことも出来ず、気がついた時にはさくらはすでに教室にいた女友達のところにいて、笑い合っていた。

それは昨日までと何も変わらない朝の光景。

遠くからいつも見つめ続けている光景だった。

何も変わらない。

結局また一人で勝手に思い描いていただけ。

本当は、なんでもいいから近づきたかった。

昨日よりも少しでもいいから・・・。

(「好き」の一言もいえない自分がなにをいっているのか・・・。)

苛立たしい気持ちを押し殺すように目を瞑り、視界を閉ざした。







暗くして、苦しいのも我慢して見るのをやめても、現実はそんなに簡単じゃなかった。



「ねぇ、大野くん。どうしたの?」

放課後。2人きりの教室には、昨日と同じように机を挟んだ向かいにはさくらがいた。

違うのは俺が机に向かって椅子に座り、さくらは俺の向かう机の向かいに立って俺を見ていること。

「・・・・・・なにが?」

顔を上げずに短く問い返す。

とにかく日誌を書くことに専念しようとしても、微かに手が震えてしまう。

「今日なんか変だよ?」

「・・・べつに?なんでもねーよ」

シャーペンの芯をなんども折りながら、それでも平常心を装った。

べつに変なとこなんてどこにもない。ただ見るのをやめただけ。

「嘘だね。変だよ・・・」

見ていたことに気づいてるはずないのだから、嘘じゃない。

「お前に変なんていわれたくねーよ・・・」

人の気持ちも知らねーで・・・。

「じゃあなんで目合わせないのさっ?!」

「ーーーーッ!?!?」

「今日・・・一回も目あってないよね・・・」

「・・・な、なにいってんだよ。そんなことべつに変なことじゃねーだろ?たいして話だってしてねーんだし・・・」

図星を指された。それでも視線はあわすことはできなくて、日誌を閉じて立ち上がった。

日誌に何を書いたかもよくわからない。

さくらの視線を避けるように背を向けて歩き出した時、
背中に掛けられたさくらの声は押し殺すような悲しそうな声だった。

「・・・いつも・・・話さなくても・・・一杯・・・目・・・あってたよ・・・?」

「・・・・・・・・・・・・」

わかってるよ。俺が見てたんだ。ずっと・・・一人で見てたんだ。

「・・・大野くん・・・すぐに逸らしてばっかだけど・・・なんか・・・嬉しかった・・・」

ああ・・・俺も嬉しかった・・・・・・って・・・・・・

「・・・・・・・・・・・・うれ・・・しい・・・?」

「うん・・・嬉しかった・・・。・・・ねぇ、昨日のこと怒ってるの?強引に頼んだから・・・嫌になった・・・?」

「なんだよ・・・それ・・・嫌になったのは、お前のほうだろ?・・・いきなり、あんなこと言って・・・」

「?それって、抱きしめたいってやつ?」

「お、おまえ・・・そんな・・・なんでもないようにいうなよ・・・」

さらりと言われた言葉に、恥ずかしさに顔が赤くなる。

「え?あ、もしかしてちゃんと返事返さなかったから怒ってるの?」

「はぁ?!」

さくらのあまりにずれている問いかけに、思わず振り向いてしまった。

それでも視線だけはあわせないように、慌てて顔を背ける。

「いきなりなにいってんのかわかんなかったけど、返事しようと思ったら大野くん帰っちゃうんだもんっ」

「へ、返事って・・・」

もらえるのか?・・・あんなものに?

てゆーか、話の展開について行けない。

頭の中が混乱していて、頭を抱えようと腕を上げた次の瞬間、
なにかが身体にあたった・・・というか、柔らかなものがくっついた・・・?

柔らかな感触に顔をしたに向けると、そこには・・・さくらの頭があって。

身体に腕がまわされて、さくらが自分に抱きついてることに気がついた時は、
逆立ちをしてるわけじゃないのに、頭に一気に血が上って、視界がぐらりと揺れた。

「ーーーーーなっ、なっ、なにやってっ?!」

突然のことに持ち上げた手をどこに持っていったらいいのかもわからない。

身体に伝わるさくらの感触に心臓がものすごい音を立てて動きだし、
引き離そうと思ってもその身体に触れることも出来ない。

「大野くんが抱きしめてもいいか?っていったんじゃんっ!!でも大野くん、全然抱きしめないから私が抱きしめてんのっ!!」

しどろもどろになっていると、身体にまわされた腕にギュッと力が入り、
抱きしめるというより、しがみついているような体制でさくらは胸元で叫んだ。

その仕草とセリフに押さえつけていたものが音を立てて切れて、
勢いのままに肩に手を掛けて少し引き離すと、力一杯抱きしめた。

「・・・お、大野くん・・・ちょっと・・・苦しい・・・」

腕の中からのくぐもった声に、さらに閉じこめるように強く抱きしめた。

「・・・お前が悪い・・・もうすこし・・・我慢しろよ・・・」

ずっと求めていたものは、想像以上に柔らかく暖かく、そしてとても・・・甘かった。

どれだけ待ち望んだ事か。

俺がどんな気持ちでいたかちっともわかってないこいつに、少しでも伝わるようにまだまだ強く抱きしめる。

「もうすこしって・・・?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もう少し」

まだ離せない。

もうこんなふうに抱きしめることがないかもしれないと思うとどうしても離せない。

もう少し、あと少し、このぬくもりを確かめられたら・・・言える気がするから。



好きだって・・・言えるからさ。







あとがき

な、なに・・・この終わりかた・・・。
という苦情がきそうな最後でごめんなさいです・・・。

企画ということで、いつもとはちょっと変えて、大人風味に書いてみたのですが、それがいけなかったです。
ごくせんとダブッて来てしまったので・・・。

唯一の救いは、さくら一家でした。(ありがとう。)



それでは、こんな小説でもうしわけないのですが、大野×まる子に投票して下さった方に捧げます。

ありがとうございました!!